塾長ブログ No.85 2024/6/25 古典の中に出てくる猫
塾長ブログ『枕草子』第六段「上にさぶらふ御猫は」。
一条天皇と定子は猫が大好きで、猫に「命婦(みょうぶ)のおとど」と名付け位階を与えていました。
ある日、この猫が翁丸(おきなまる)という犬に追いかけられ天皇のふところに逃げ込み、怒った天皇は翁丸をさんざんに叩いた上、島流しにします。
翁丸はボロボロになった姿で再び宮中に戻ってきて、人々はそのけなげさに涙し、天皇も深く感動したというお話です。
猫に位階を与えたのは、従五位下以上でなければ帝のお側にいられないためで、「命婦のおとど」の「命婦」には「五位以上の女官」という意味があります。
決まり上、そうなっていたとは思うのですが、猫に位まで与えるというのはかわいくて仕方がなかったのでしょうね。
この『枕草子』のほか、『源氏物語』や高校2年生で習う、『更級日記(さらしなにっき)』の中にも猫が出てきます。
古くは、奈良時代。
遣隋使が中国からお経や様々な書物を持ち帰ってくる時に、猫を同時に連れ帰ったと言われています。
お経や書物をネズミから守るためです。
これは、その後、図書館猫となりました。
中世から、現代に至るまで、Library catという名で、一部の公立図書館で猫が飼われています。もちろん、大切な書物をネズミから守るためです。
ま、ネズミの害がほぼ守れる現代では、来館者とのコミュニケーションが目的になってきています。