塾長ブログ No.172 2025/6/23 ワールドカップあれこれ
塾長ブログテレビの前で、文字通り息を呑みながら画面を見つめていたあの夜のことを、今でも鮮明に覚えています。
1993年10月28日の深夜(日本時間22時15分キックオフ)。カタールのドーハで行われたアメリカワールドカップ・アジア最終予選最終戦「日本対イラク」。日本サッカー史に今なお語り継がれる「ドーハの悲劇」が起きた試合です。
当時を知らない生徒さんたちのために少し説明すると、その頃の日本代表は「勝てば悲願のワールドカップ初出場」という大一番を迎えていました。試合は日本がリードしたまま終盤へ。残り時間はわずか数十秒。誰もが勝利を確信し、夢の切符を手にしたと思ったその瞬間、後半ロスタイムにイラクの同点ゴールが決まります。
まさに天国から地獄へ。日本中がワールドカップ初出場という夢に手をかけながら、その夢が目前でこぼれ落ちた瞬間でした。僕もまた、その光景をリアルタイムで見届けていました。
しかし、あの悲劇を経験した日本サッカーは、その後驚くべき進化を遂げていきます。
Jリーグが開幕したのも、実はドーハの悲劇と同じ1993年。それから30年以上が経ちました。
現在、日本国内で定期的にサッカーを楽しんでいる競技人口は約369万人といわれています。
その中で、Jリーグに登録されているプロ選手は2026年現在で1,896人。
さらに、ワールドカップの舞台で日本代表として登録されることのできる選手はわずか26人です。
数字だけを見ると、その厳しさがよく分かります。
・サッカーをしている約369万人の中で、Jリーガーになれるのは約0.05%。
・さらに、そのJリーガーの中からワールドカップ登録メンバー26人に選ばれる確率は約1.3%。
・プロになった後も約73人に1人しかたどり着けない世界なのです。
そんなトップアスリートたちの平均的なチーム練習時間は1日2〜3時間程度といわれています。
「意外と短い」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、その数時間に持てる力のすべてを注ぎ込み、常に限界へ挑戦し続けるのがプロの世界です。
さらに個人練習や筋力トレーニング、ミーティング、コンディション管理などが加わります。
それを毎日、何年も積み重ねていく。
本当にすごい世界だと思います。
彼らは天から与えられた才能を持ち、それを人並み外れた努力によって磨き続けた選ばれし存在です。
さて。
そんな一握りの才能を持つ人たちを見ていると、「自分にはそんな才能はない」と思う人もいるかもしれません。
しかし、それで夢や希望まで失う必要はありません。
確かに、誰もがワールドカップに出られるわけではありません。
誰もが天才になれるわけでもありません。
実は、偉そうなことを言っている僕自身、子どもの頃は夢がコロコロ変わる人間でした(笑)。
小学1年生の作文には「しょうらいはこうちょう先生としゃちょうになります」と書いていたそうです。
ところが小学6年生の卒業文集では「医師」になりたいと言い出し、中学生になると数学や理科の成績と相談して早々に断念。
今度は「弁護士」を目指し始めます。
おそらく、その時々に出会った本やテレビ番組の影響を受けていたのでしょう。
そんな僕がその後、一生涯好きになる人物に出会います。
直木賞を受賞した作家であり、歌舞伎をはじめとする演劇評論の第一人者として活躍された戸板康二先生です。
先生の文章や生き方に強く惹かれた僕は、「国文学を専門に学びたい」と考えるようになりました。
そして先生が学ばれた大学で勉強することを決めたのです。
そのまま国文学者になるつもりでした。
ところが、ひょんなことから塾講師の仕事に出会い、気がつけば今に至っています。
振り返ってみれば、本当に紆余曲折の人生でした。
それでも今、僕はこの「塾講師」という仕事が大好きです。
そして残りの人生も、この仕事とともに歩んでいきたいと心から思っています。
ずば抜けた才能がない僕たちは、だからこそ自分で道を選び、自分の足で歩いていくしかありません。
時には誰かに影響を受け、時には壁にぶつかって挫折し、回り道をすることもあるでしょう。
でも、それでいいのです。
誰かに用意されたレールがないのなら、自分で考え、自分で選び、自分で決断して進んでいく。
その経験こそが、生徒さんたちにとっての「生きる力」になります。
最初から正解が分かっている旅ほど、面白くないものはありません。
才能がないことを嘆く必要はありません。
一歩ずつでいい。自分で決めた道を泥臭く進んでいきましょう。
そして、これから未来へ羽ばたいていく生徒さんたちが、自分自身の進路を見つけることができる。
そのお手伝いを少しでも続けられたなら、僕にとってこれ以上の喜びはありません。
きっと、それだけで悔いのない人生になると思っています。
【追伸】
さて、次の試合は日本時間6月26日(金)午前10時キックオフのエジプト戦です。
この試合に勝ち進めば、いよいよ決勝トーナメントへと進んでいきます。
これだけ大きな試合になると、生徒さんたちは大丈夫だと思うのですが、やはり問題になるのは「リアルタイム観戦の誘惑」とどう付き合うかですね。
今回の開催地との時差の関係で、キックオフは平日の午前中。ちょうど学校の授業中です。
「気になって勉強が手につかない!」
そんな生徒さんもいるかもしれません。
世界のトップレベルで戦う選手たちをリアルタイムで見たい、応援したいという気持ちは、僕にもよく分かります。
ただし、試合結果が気になりすぎてソワソワしたり、授業に集中できなくなったりしては本末転倒です。
一流の選手たちから受け取った刺激は、そのまま自分の努力へと変えていきましょう。
興奮は一瞬。しかし、その興奮から生まれたエネルギーは、これからの自分を成長させる力になります。
日本にいながら「時差ボケ」にならないように気をつけて(笑)。
また自分自身の未来のピッチへ向かって走り出してください。
今日も一緒に、一歩ずつ!