塾長ブログ No.169 2025/6/2 梅雨と台風の季節に想うこと~古典と英語から見る「雨」の風景
塾長ブログ 近畿地方もいよいよ本格的な雨の季節を迎えようとしていますね。
昨年(2025年)の近畿地方は、5月17日頃という統計開始以来もっとも早い異例の梅雨入りでしたが、一転して今年(2026年)は平年(6月6日頃)並みか、それよりやや遅い「6月中旬頃」の梅雨入りが予想されています。
このように年によって大きく変動する天候に加え、早くも「台風6号」の動向が気になる季節になってしまいました。
近年は毎年のように「10年に一度の異常気象」という言葉を耳にしますが、気圧の変化や激しい寒暖差で、生徒さんも保護者様も、体調管理が本当に難しい時期だと思います。疲れが溜まったら無理をせず、まずは睡眠と栄養をしっかり摂ってくださいね。
⚠️ 【重要】気象警報発表時の対応について
学窓社では、各種気象警報が発表された場合、生徒さんの通塾と保護者様の送迎時の安全を第一と考え、休講措置をとらせていただく場合があります。 その際は、事前にホームページにてお知らせいたします。 警報発令の有無を基準としますが、「安全第一」の判断となりますので、何卒ご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
さて、雨ばかりでちょっぴり憂鬱になりがちなこの季節ですが、少し視点を変えて、勉強の息抜きになる「雨と台風にまつまつる面白いトピック」を、古典と英語の世界からご紹介します。
「梅雨」という言葉、実は奈良時代から平安時代にかけて(およそ8世紀〜11世紀頃)、中国から日本へ伝わってきた言葉なのです。
当時、遣唐使などを通じて中国の進んだ文化や漢字を盛んに取り入れていた時期に、他の多くの言葉と一緒に日本にやってきました。
平安時代中期の1018年頃に作られた『和漢朗詠集』には、すでに中国の漢詩を引用する形で「梅雨」という文字が登場しています。
中国から伝わったこの漢字の由来には、主に2つの面白い説があります。
- 季節の風景から:
梅の実が熟す時期の雨 梅の花は早春に咲きますが、その実が黄色く熟すのはちょうど初夏の6月頃です。
まさに「梅の実が熟す頃に降る長雨」だからという、季節感あふれる説です。 - 生活の悩みから:
実は「カビの雨(黴雨)」だった? この時期は湿度も気温も上がり、どうしても衣服や食べ物にカビが生えやすくなります。
そのため、もともとはカビを意味する漢字を使って「黴雨(ばいう)」と呼ばれていました。
しかし、「カビの雨」ではあまりにも陰気でイメージが悪いため、同じ「ばい」という読み方で、季節的にもぴったりな「梅」の字を当てて「梅雨」に変えたという、なんともポジティブな説です。
言葉自体は平安時代に伝わっていましたが、当時の貴族たちは『源氏物語』などの世界でもおなじみの「五月雨(さみだれ)」や「ながめ(長雨)」という日本固有の美しい言葉を好んで使っていました。
この「梅雨」という漢字を、僕たちが普段使っている「つゆ」という独自の読み方で日常的に呼ぶようになったのは、ずっと時代が下った江戸時代のことです。その語源にも日本らしい発想があります。
- 草木にたくさんの「露(つゆ)」が宿る季節だから。
- 熟した梅の実がポタポタと「潰(つい)える(=つゆ)」時期だから。
- 食べ物がカビで傷んで「費(つい)える(だめになる)」から。
『徒然草』の著者として有名な兼好法師は、この時期の様子をこう綴っています。
「五月雨のころ、いたく煙りわたりて、心細からぬおぼえねど、…」
(意訳:梅雨の時期、あたり一面が霧のように煙っていて、なんとなく心細いものだけれど、[そんな景色もしみじみと趣深いものだ])
現代の僕たちも「雨で気分が上がらないな」と思うことがありますが、鎌倉・室町時代の兼好法師も同じように「心細いな」と感じていたのですね。 千年以上前の人と現代の僕たちが、同じ雨空を見て同じ気持ちを抱いていると思うと、古典が少し身近に感じられます。
次は英語のトピックです。
台風は英語で “typhoon”(タイフーン) と言います。 発音が日本語の「タイフーン」とそっくりですよね。実はこれ、偶然ではないのです。
語源には諸説ありますが、ギリシャ神話に登場する巨大な怪物「テュポーン(Typhon)」が由来だという説が有力です。
テュポーンは、激しい嵐や暴風雨を巻き起こす恐ろしい怪物でした。
この言葉が東洋に伝わり、中国語の「大風(タイファン)」や日本語の「台風」と混ざり合って、現在の “typhoon” になったと言われています。
洋の東西を問わず、昔の人は激しい嵐の中に「目に見えない巨大な力や怪物」を感じ取っていたのかもしれません。
雨の日は外に出るのが億劫になりますが、家の中でじっくり読書をしたり、英単語を覚えたり、古典の世界に浸ったりするには最高の「集中タイム」になります。
ジメジメした天気に負けず、心はカラッと元気に、この季節を一緒に乗り越えていきましょう!